平成30年度富山大学地域貢献事業
ライフサイエンスとやま−オープンラボ2018−

 富山大学研究推進機構研究推進総合支援センター生命科学先端研究支援ユニットでは、下記の予定で高等学校の生徒を対象とした講座「ライフサイエンスとやま−オープンラボ2018−」を開催しました。
 この講座は、平成23年度から26年度まで国立研究開発法人科学技術振興機構のサイエンス・パートナーシップ・プログラム事業(平成26年度終了)として、平成27年度からは学長裁量経費などの支援により「富山大学地域貢献事業」として実施し、高等学校の生徒に大学の高度な施設・設備を利用した「遺伝子」「顕微鏡」「動物」の3つのテーマの探究的学習活動を提供しました。
 なお、例年実施している「放射線」をテーマとした講座Cは、実施場所の実験施設の改修工事により、今年度も休止としました。
ねらい
  • 本講座は、本学の中期計画「地域の生涯学習の拠点として、若者世代、現役・子育て世代、シニア世代のそれぞれのニーズに対応した、多様な学習機会を提供する」に基づき、富山県内の高等学校の生徒に探究的な学習の機会を提供し、科学的な見方や考え方を育むことをねらいとする。
  • 本講座による探究的学習活動を体験することにより、生命科学分野への興味・関心の高揚と科学への知的好奇心や探究心の育成、並びに生徒の進路意識やその後の職業選択についての醸成を期待する。
  • また、生徒が実際に大学の研究に利用されている最先端機器に触れたり、教職員や学生と身近に接したりすることにより、知による豊かな社会の創成を目指す富山大学の使命と役割について広く理解してもらうきっかけとし、地域社会に支えられた大学創りの礎の一つとする。
実施日 平成30年8月2日(木)、3日(金)
会 場 富山大学杉谷キャンパス
 研究推進機構研究推進総合支援センター
 生命科学先端研究支援ユニット
 ○遺伝子実験施設(講座A)
 ○分子・構造解析施設(講座B)
 ○動物実験施設(講座D)
参加者
富山県立魚津高等学校 2年生 18名
富山県立砺波高等学校 2年生 15名

講座A
テーマ 遺伝子研究を体験してみよう
講 師 田渕 圭章(研究推進機構・教授)
T A 矢後 亜沙佳(大学院医学薬学教育部)
目 的 大腸菌や高等動物の培養細胞にクラゲ由来のGFP(Green Fluorescent Protein)遺伝子を導入する遺伝子組換え実験を行い、大腸菌や細胞の取扱い操作及び遺伝子組換え実験を理解する。
内 容
  • クラゲの蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を大腸菌と哺乳類の培養細胞に導入する。
  • 種々の条件下で一晩培養したGFP遺伝子導入の大腸菌を観察する。
  • 上記で操作した大腸菌について紫外線照射装置を用いてGFPタンパク質の発現の確認を行い、次に蛍光顕微鏡を用いて哺乳類の培養細胞に導入されたGFPタンパク質の発現の評価を行う。
  • また、ポストゲノム研究で注目されているマイクロアレイ遺伝子発現解析法、個人の遺伝情報に基づいたテーラーメイド医療など、最近の遺伝子研究の進展や今後の生命科学研究の展望、社会的影響についても講義する。

講座B
テーマ 顕微鏡で探るミクロの世界
講 師 平野 哲史(研究推進機構・助教)
T A 埴田 佳佑(大学院医学薬学教育部)
目 的 蛍光タンパク質や特異抗体を用いた細胞の染色実験を体験し、自作標本を蛍光顕微鏡や電子顕微鏡により観察することで、生命科学と顕微鏡の関わりについて学習する。
内 容
  • 蛍光タンパク質や特異抗体を用いて培養細胞を染色するとともに、各種実験の原理について学ぶ。
  • 自作標本を蛍光顕微鏡で観察し、細胞のかたちがどのように決まるかについて理解を深める。
  • 自分の毛髪等を用いて走査電子顕微鏡用の試料を実際に作製し、光学顕微鏡では見えないミクロの世界を探索する。
  • 最新の生命科学において活用されるライブイメージング技術などについても紹介する。

講座D
テーマ 生殖補助医療技術と動物を用いた実験
講 師 高雄 啓三(研究推進機構・教授)
西園 啓文(研究推進機構・助教)
T A 笹川 恵理(大学院生命融合科学教育部)
藤村 耕平(医学部)
新山 貴仁(医学部)
津村 啓太(工学部)
目 的 脳科学の研究で用いられているマウスの行動解析や、不妊治療に応用されている体外受精などの生殖補助医療技術を実際に体験し、先端科学への興味を持ってもらう。
内 容
  • マウスの行動解析手法について学び、画像解析ソフトウェアを用いてオープンフィールド内を自由に動き回るマウスがどれだけの距離を動いたかを計測する。
  • マウス精子をタブレットやスマートフォンに取り付けるタイプの小型顕微鏡を使って観察し、撮像する。希望者には、自分の端末での撮影も可能とする。
  • 体外受精を実施し、翌日に受精卵が発生するかどうかを観察する。
  • マイクロマニピュレーターを操作し、受精卵を掴んだり、透明帯に穴を開けたりするなど、不妊治療で実際に行われている操作を体験する。