平成26年度サイエンス・パートナーシップ・プログラム
ライフサイエンスとやま−オープンラボ2014−
 富山大学生命科学先端研究センターでは、下記の日程で富山県立魚津高等学校および砺波高等学校の生徒を対象とした講座「ライフサイエンスとやま−オープンラボ2014−」を開催しました。
 この講座は、独立行政法人科学技術振興機構が支援する「サイエンス・パートナーシップ・プログラム」として平成23年度から実施しているもので、高等学校の生徒に大学の高度な施設・設備を利用した「遺伝子」「機器分析」「放射線」の3つのテーマの探究的学習活動を提供しました。
 なお、平成26年度事業を実施するにあたり、平成26年度学長裁量経費(教育研究活性化等経費)からご支援いただきました。
ねらい
  • 本講座は、本学の中期計画「地域の高校と連携した公開授業や小中学生を対象にした小中学生講座を開設し、地域の教育機関との連携を推進する」に基づき、富山県内の高等学校の生徒に探究的な学習の機会を提供し、科学的な見方や考え方を育むことをねらいとする。
  • 本講座による探究的学習活動を体験することにより、生命科学分野への興味・関心の高揚と科学への知的好奇心や探究心の醸成、並びに生徒の進路意識やその後の職業選択についての啓発を期待する。
  • また、生徒が実際に大学の研究に利用されている最先端機器に触れたり、教職員や学生と身近に接したりすることにより、知による豊かな社会の創成を目指す富山大学の使命と役割について広く理解してもらうきっかけとし、地域社会に支えられた大学創りの礎の一つとする。
実施日 平成26年8月4日(月)、5日(火)
会 場 富山大学杉谷キャンパス
 生命科学先端研究センター
 ○遺伝子実験施設(講座A)
 ○分子・構造解析施設(講座B)
 ○アイソトープ実験施設(講座C)
参加者
富山県立魚津高等学校 2年生 18名
富山県立砺波高等学校 2年生 15名

講座A
テーマ 遺伝子研究を体験してみよう
講 師 田渕圭章(生命科学先端研究センター・准教授)
T A 小澤茂喜(大学院医学薬学教育部)
阿波加隼也(大学院医学薬学教育部)
目 的 大腸菌や高等動物の培養細胞にクラゲ由来のGFP(Green Fluorescent Protein)遺伝子を導入する遺伝子組換え実験を行い、大腸菌や細胞の取扱い操作及び遺伝子組換え実験を理解する。
内 容
  • クラゲの蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を大腸菌と哺乳類の培養細胞に導入する。
  • 種々の条件下で一晩培養したGFP遺伝子導入の大腸菌を観察する。
  • 上記で操作した大腸菌について紫外線照射装置を用いてGFPタンパク質の発現の確認を行い、次に蛍光顕微鏡を用いて哺乳類の培養細胞に導入されたGFPタンパク質の発現の評価を行う。
  • また、ポストゲノム研究で注目されているマイクロアレイ遺伝子発現解析法、個人の遺伝情報に基づいたテーラーメイド医療など、最近の遺伝子研究の進展や今後の生命科学研究の展望、社会的影響についても講義する。

講座B
テーマ 顕微鏡で探るミクロの世界
講 師 五味知治(生命科学先端研究センター・准教授)
T A 富井寿詠(大学院医学薬学教育部)
山本翔太(大学院医学薬学教育部)
目 的 歴史的な単レンズ顕微鏡を身近な材料で自作し、顕微鏡の原理や発展の歴史などを理解するとともに、電子顕微鏡などの操作・観察を通して、伝染病などの究明で人類に多大な貢献をした顕微鏡について体験的に学ぶ。
内 容
  • 17世紀にオランダのレーウェンフックが考案したガラス玉顕微鏡を生徒自身で作製し、自分の口腔粘膜や毛髪、花粉などを採取して観察する。
  • 自作標本を研究用光学顕微鏡で観察し、自作顕微鏡像と比較するとともに、蛍光観察を通じて、光と色との関係を学ぶ。
  • 自分の毛髪や蟻を処理して走査電子顕微鏡用の試料を実際に作製し、光学顕微鏡では見えないミクロの世界を探索する。
  • 富山県出身のノーベル賞受賞者である田中耕一さんの考案を応用した質量分析装置などの大型分析機器を見学する。

講座C
テーマ 見て測って学ぼう!放射線と生体影響
講 師 庄司美樹(生命科学先端研究センター・准教授)
趙 慶利(大学院医学薬学研究部(医学)・助教)
T A 橋本佳保里(大学院医学薬学教育部)
三浦宏明(大学院医学薬学教育部)
目 的 天然放射線源を用いて放射線の物理的性質を調べるとともに、培養細胞に放射線を照射して生体影響を調べることにより、放射線に対する理解を深め、正しい対処法について考える。
内 容
  • 培養細胞に放射線を照射し、光学顕微鏡で形態の変化を観察する。
  • イメージングプレート、GMサーベイメータにより食物の測定を行い、自然放射線を視覚的、聴覚的に理解する。
  • 霧箱を作製し、私たちの身の回りの放射線や放射性物質からの放射線の通った跡を霧として観察する。