平成21年度サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト「講座型学習活動」
富山発バイオサイエンス21−身近な生命科学研究−

ねらい
  • 本講座では、富山大学で実施・展開されている生命科学先端研究の一翼を担う「生命科学先端研究センター」及び「薬学部附属薬用植物園」において、中学生を対象に「動物」「和漢薬」「顕微鏡」「遺伝子」「放射線」をテーマとした5つの学習活動を行い、生命科学研究の一端を体験してもらうことにした。
  • 本講座は、生徒が科学を学ぶ強い動機付けとなること、及び科学の世界に対する知的好奇心と勉学への意欲を高める機会となることをねらいとし、学習活動を体験することにより、科学への探究心を醸成する効果を期待した。
  • また、生徒が実際に大学の研究に利用されている最先端機器に触れたり、教職員や学生と身近に接したりすることにより、知による豊かな社会の創成を目指す富山大学の使命と役割について広く理解してもらうきっかけとし、地域社会に支えられた大学創りの礎の一つとした。
実施日 平成21年8月18日(火) 午前9時30分から午後4時
(7月14日(火)は射水市立奈古中学校にて出前授業)
会 場 富山大学杉谷キャンパス
 ○生命科学先端研究センター
 ○薬学部附属薬用植物園
参加者 射水市立奈古中学校 3年生 73名

講座A
テーマ 生命の神秘
講 師 山本 博(生命科学先端研究センター動物実験施設長)
大塚 哲(生命科学先端研究センター助教)
T A 留場麻衣(大学院医学薬学教育部)
金山翔治(大学院医学薬学教育部)
坪田直裕(薬学部)
目 的
  • 今日の日常生活や学校の授業などにおいて生きもの(特に動物)と接する機会が薄れていることから、実験動物として広く用いられているマウスの受精や発生過程の様子を観察し、生きものに対する感覚・感情を具体的に実感・理解する。
  • 実習体験を通して生命の尊厳、生きものへのいたわりを一層醸成させ、さらに生命科学への興味・関心の一燈になることを目的とする。
内 容
  • 顕微鏡下でマウスの精子、卵子から胎児への発生過程を観察し、その後マイクロピペットを用いてマウスの体外受精の操作・観察を行う。
  • 体外受精の技術を応用して作製したGFP(緑色蛍光タンパク質)マウスを観察する。

講座B
テーマ 和漢薬とバイオ技術
講 師 黒崎文也(薬学部附属薬用植物園長)
山村良美(大学院医学薬学研究部助教)
T A 水口芳信(大学院医学薬学教育部)
三田村俊明(大学院医学薬学教育部)
村中勇人(大学院医学薬学教育部)
目 的
  • 人間の健康を維持するために利用されている薬の多くが自然の恵みの中から取り出されたものであり、長い間の工夫と試行錯誤によってその価値が高められたことを理解する。
  • 講義と実習体験を通して、植物から得た恩恵を先端技術によって効率よく利用している様子を理解させ、理科一般へ興味・関心を喚起することを目的とする。
内 容
  • 薬の原料である植物と加工された和漢薬との味や匂いを比較考察する。
  • 和漢薬の有効成分を薄層クロマトグラフィー(TLC)で分析する。
  • 遺伝子工学や細胞工学などの先端バイオ技術を見学・体験する。

講座C
テーマ 顕微鏡の不思議
講 師 五味知治(生命科学先端研究センター分子・構造解析施設長)
T A 岩本 悠(大学院医学薬学教育部)
志村裕介(大学院医学薬学教育部)
下田恵理(大学院医学薬学教育部)
目 的
  • 伝染病などの究明で人類に多大な貢献をした顕微鏡を身近な材料で自作し、その原理や発展の歴史などを理解する。
  • 生命科学研究に利用されている各種顕微鏡を用いて、日常見ることのできない生物の形態や不思議な世界を観察する機会を提供し、生命科学への興味を喚起することを目的とする。
内 容
  • 17世紀にオランダのレーウェンフックが考案したガラス玉顕微鏡を身近な材料で作製し、口腔粘膜や毛髪、花粉などを観察する。
  • 同じ標本を光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察する。

講座D
テーマ 遺伝子研究への招待
講 師 田渕圭章(生命科学先端研究センター遺伝子実験施設長)
高崎一朗(生命科学先端研究センター助教)
T A 古澤之裕(大学院医学薬学教育部)
林 淳美(大学院医学薬学教育部)
畔上愛子(大学院医学薬学教育部)
目 的
  • 大学などで日常的に行われている細胞や遺伝子レベルの実験を生命科学研究に利用されている技術や機器を用いて行い、遺伝子や細胞について理解を深める。
  • これら科学技術が日常生活に深く関わっていることを理解させ、遺伝子やこれに関連した生命科学に興味・関心を持たせることを目的とする。
内 容
  • 哺乳類の細胞にGFP遺伝子を導入する実験を行う。
  • 蛍光顕微鏡を用いてGFPが発現した「緑色に光る細胞」を観察する。

講座E
テーマ 身近な自然放射線
講 師 庄司美樹(生命科学先端研究センターアイソトープ実験施設長)
T A 石川 充(大学院医学薬学教育部)
筒井大気(大学院医学薬学教育部)
今井 翼(大学院医学薬学教育部)
目 的
  • 放射線について科学的に学習する機会が少ない中学生に対し、身の回りにある自然放射線を霧箱を用いて視覚化することにより、放射線に対する具体的なイメージを形成させる。
  • 放射線が科学の発展に貢献していることを理解させ、自然科学への興味・関心を高めることを目的とする。
内 容
  • 身近にあるものから放出される自然放射線をサーベイメータで測定し、さらに専用の解析装置で画像化して観察する。
  • 各自で霧箱を作製し、自然放射線を視覚的に観察する。