平成17年度サイエンス・パートナーシップ・プログラム「教育連携講座」
富山発バイオサイエンス21−身近な生命科学研究−

ねらい
  • 21世紀・バイオサイエンス世紀に、本学で実施・展開されている脳神経、分子病態解析、和漢医薬学などの先端研究の一翼を担う「生命科学先端研究センター」で、新湊市立奈古中学校3学年の生徒を対象に、「生命の神秘」「顕微鏡の不思議」「遺伝子研究への招待」「自然放射線の画像化・視覚化」をテーマとして、身近なものを題材とした4つの取組をセンターにある最先端機器を利用して行い、生命科学研究の一端を体験してもらうことにした。
  • 本講座は、生徒が科学を学ぶ強い動機付けとなること、及び科学の世界に対する知的好奇心と勉学への意欲を高める機会となることをねらいとし、科学への探究心を醸成する効果を期待した。また、生徒が実際に大学の研究に利用されている最先端機器に触れたり、教職員と身近に接したりすることにより、教育・研究・医療機関としての本学の使命と役割について広く理解してもらうきっかけとし、地域社会に支えられた大学創りの礎の一つとした。
実施日 平成17年8月22日(月)
会 場 富山医科薬科大学生命科学先端研究センター
 動物実験施設
 分子・構造解析施設
 遺伝子実験施設
 アイソトープ実験施設
参加者 新湊市立奈古中学校 3年生 54名

講座A
テーマ 生命の神秘
講 師 山本 博(生命科学先端研究センター助教授)
目 的 講義及び実習を通して、動物に対する感覚、感情を具体的に実感・理解するとともに、生命の尊厳、生きものへのいたわりを一層醸成させる。
内 容
生命の誕生・神秘を体験するため、顕微鏡でマウスの精子、卵子及び各周期の受精卵を観察し、さらにマイクロピペットを用いてマウスの体外受精の操作・観察を行う。また、人といちばん馴染みが深いイヌやネコの血液型を調べるため、専用の試薬・器具を用いて、血液型の判定を行う。

講座B
テーマ 顕微鏡の不思議
講 師 五味知治(生命科学先端研究センター助教授)
目 的 講義及び実習を通して、顕微鏡の歴史や原理、種類、用途を理解するとともに、日常見ることができない生物の不思議な世界を観察する。
内 容
フロッピーディスクとペットボトルを用いて2種類の顕微鏡を作製し、タマネギの表皮や花粉などを観察する。また、同じ標本を光学顕微鏡や電子顕微鏡でも観察する。さらに、実習の合間に、生命科学研究に利用される最先端機器を見学する。

講座C
テーマ 遺伝子研究への招待
講 師 田渕圭章(生命科学先端研究センター助教授)
目 的 講義及び実習を通して、遺伝子や細胞についての理解を深めるとともに、これら科学技術が日常生活に深く関わっていることを理解する。
内 容
遺伝子の研究者や探偵として、犯罪現場に残されたDNAと容疑者のDNAを電気泳動装置で分離し、DNAパターンを観察して、容疑者の中から犯人を捜し当てる実習を行う。また、蛍光顕微鏡を用いて細胞の核を観察する。

講座D
テーマ 自然放射線の画像化・視覚化
講 師 庄司美樹(生命科学先端研究センター助教授)
目 的 講義及び実習を通して、放射線に対する具体的なイメージを形成させるとともに、放射線が科学の発展に貢献していることを理解する。
内 容
GMサーベイメータを用いてカリウム肥料や花こう岩などから放出されている自然放射線を測定し、さらにイメージングプレートを用いて自然放射線を画像化して観察する。また、ペットボルトの中に霧を発生させる実習の後、霧箱実験を行い、自然放射線を視覚的に観察する。