第15回 実験実習機器センター長会議に出席して

実験実習機器センター長 服部征雄


 平成9年11月20日、21日の両日、佐賀医科大学において第15回国立大学付属実験実習機器センター長会議が開催されて、私たちの大学からもセンター長、五味知治助教授 、恒田則子技官が参加した。この会議は新設医大に設置された実験実習機器センターの管理、運営に関する問題点を大学間の連携の下に話し合い、センターの効率的利用を目指すために開催されている。昨年は琉球大学が当番校であり、その時の議題がそのまま引き継がれている感がした。特に、機器センターの教職員の整備、技術職員の組織化および待遇改善については会議の大半を費やしたが、結局例年通り医学部長会議に要望書を提出するということに落ち着いた。新設医科大学といっても、成り立ちにより機器センター職員の数はまちまちで、技官、教務員のほとんどを機器センター職員として有しているところや、反対に講座に按分され、わずかな職員しかいない大学もあるようである。どこの大学も職員の定員削減を深刻な事態としてとらえ、特にその被害が共同利用センターにくることを憂慮していた。

 若手の専任職員はどこも、情報発信に熱心でインターネットを利用したネットワークを作り、相互の連携をはかることが討議され、各大学の実験実習機器センターがホームページを設けて、それらをさらに統合するもくろみも進展しそうである。ただ、専任職員の教育研究と機器管理の任務の調和も必要であることが論議され、助教授が大学院生を引き受け、また講義も分担しているいくつかの大学の例が紹介された。恒田則子技官は本学で最近作成された『実験実習機器センター利用案内』やセンターの公報活動についてパネルデイスカッションで発表を行 い、好評をはくした。 全体的に見て、富山医科薬科大学の場合は、小さいながらも医学部、薬学部、研究所の3部局からなっているため、すべての話が医学部長会議への要請で話がまとまるというわけに行かず、他の大学の実験実習機器センターが医学部のコンセンサスさえあれば小回りの利く方策が打ち出されるのと対比して、多くの困難な問題に直面しているのが現状である。会議の1日目だけでは、例年通りの稔のあまりない全体会議で終わってしまったが、今回は主催大学の友国勝麿教授の提案で、センター長、専任教官、技官の分科会が第2日目に持たれ、本音の話し合いがもたれたことは、私にとっても大変有意義であった。

 施設の見学では、電子顕微鏡など大変広い部屋にゆったりと配置されており、本学と比べうらやましいかぎりであった。ただ、必要性にもよるが、大型機器、遺伝子実験設備などは見劣りがした。 幕末、鍋島藩は反射炉を作ったり、伊東玄朴による種痘が初めて行われたり、また江藤新平、大隈重信など多くの維新の政治家を生み、富山藩とは比べもならないひのき舞台に登場したが、初めての印象では今日、ずいぶんさびれた感じがした。ただ、近年、吉野ヶ里遺跡が発掘され、古代弥生式時代には最も栄えた地域であることが確認されている。小雨の中の見学であったが、一時、古代に思いを寄せたのは私だけでは無かったと思う。 photo


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