センター長挨拶

生命科学先端研究センター長
笹原 正清

  生命科学先端研究センターは、大学院医学薬学研究部、大学院医学薬学教育部、大学院生命融合科学教育部、並びに和漢医薬学総合研究所が設置されている杉谷キャンパスに位置し、現在まで21世紀COEプログラム、知的クラスター創成事業、戦略的創造研究推進事業(CREST)などの大型プロジェクト等の支援を含めて、活発な活動を展開しております。昨年度からの各施設の業務状況をご報告させていただきます。
  分子・構造解析施設では、近年は機器の老朽化が問題になっている中で、平成25年度に大きな改善が2件ありました。1件は、平成25年度の設備整備マスタープラン対応学内経費によって、自動細胞分取分析装置(セルソーター)が最新型に更新されました。もう1件は、本学設備整備マスタープランの平成26年度整備計画として、当センターより提案しておりました「薬物・生体分子相互作用解析システム」の整備です。平成25年度補正予算によって措置され、本年10月末までに導入されることになりました。このシステムは、薬物解析核磁気共鳴装置(500MHz NMR)と、生体分子相互作用解析システム(表面プラズモン共鳴検出装置及び等温滴定型カロリメーター)とからなります。前者(NMR)は、設置後20年を経た、当センター最上位機種の更新が実現したものです。後者の生体分子相互作用解析システムは、これまで本学にはない最新の高性能機器で、要望に応えて6月末には設置され、7月から利用が開始されています。
  アイソトープ実験施設における放射線安全管理には、日頃の地道な努力と緊急時にも対応できる態勢が必要とされますが、本年5月には放射線障害防止法に基づく原子力規制委員会の立入検査が実施され、「良好に管理されている」との評価を受けました。しかし、同時に「施設全体の老朽化」の指摘も受けました。昨年度は排水モニターの修繕工事を行いましたが、部分補修で対応できる状況ではないため、一刻も早く施設改修を行う必要があり、「アイソトープ実験施設改修工事」の事業化に向け、今後とも全学的なご理解とご支援を賜りたいと思います。
  遺伝子実験施設では、昨年度、DNAシーケンサー、共焦点レーザー顕微鏡、高解像度イメージングシステムとマルチモードプレートリーダーで構成された「遺伝子機能解析システム」を新規に導入しました。このシステムは、ゲノム創薬やトランスレーショナルリサーチに必要な、遺伝子の構造を迅速かつ正確に解析し、その遺伝子の存在場所を高精度で明らかにできるシステムです。
  動物実験施設では、平成25年1月に増築工事が完了した中動物棟に、サル、イヌ等の中型実験動物の飼育装置を移設し、6月から利用を開始しました。続いて同年3月に改修工事が完了したT、U期棟に、マウス・ラット飼育装置の移設及び新設を行い、8月から利用を再開しました。9月には、学長、理事及び部局長の先生方、関係者、利用者の出席のもと、今回の増築・改修工事の竣工式と記念講演会を開催しました。
  また、4施設共通として、昨年度には文部科学省の予算により、センター各施設に設置されている設備に地震時の転倒防止対策を講じました。
  以上より、今後も本学の理念であります国際水準の教育及び研究や使命感と想像力のある人材の育成を通した地域と国際社会への貢献と、科学、芸術文化、人間社会と自然環境との調和的発展への寄与の具現化に向けて、利用者の皆様方とともに創造的な活動を展開していきたいと思います。どうぞよろしく、利用者の皆様方のご支援とご鞭撻をお願い申し上げます。
(平成26年7月記)