センター長挨拶

生命科学先端研究センター長
大熊 芳明

  センター長として4年目に入りました。
  生命科学先端研究センターでは、施設・整備の一元化により、予算の一括管理、設備の更新、機能強化、システム化、ネットワーク化などを図り、効率的に運用されています。また、学内の教育研究の推進・支援のほか、学外からの共同研究員、研究補助員のセンター利用、他大学や企業からの施設・設備の利用、試料の測定の依頼などを積極的に受け入れ、学内や地域の生命科学研究の活性化に努めております。昨年度は、平成23年3月に発生した東日本大震災の復興・再生並びに災害からの安全性の向上への対応のため、動物実験施設の往年の問題である施設の機能改善・耐震補強の予算が国から認められ、今年度は施設の充実のための中動物棟の新築も合わせ、建設計画が進んでいるのが現状であります。各施設の現況について、以下に簡単に報告いたします。
  「動物実験施設」では、現有施設のT〜W期棟のうち、建築から30年以上経過しているT、U期棟の機能改善・耐震改修が国から予算化され、加えて大学執行部のご支援とご理解により、新たに中動物棟を建設する運びとなりました。その結果、施設内の飼育領域を「SPFエリア」と「コンベンショナルエリア」とに明確に分離することが可能となり、また中動物棟及びW期棟2階にサル、イヌ、ネコ、ウサギなどの中型実験動物の飼育を集約化することにより、総合的に利用者の飼育環境に応じた動線の確保が可能となりました。これにより、動物実験施設の長年の課題である感染事故の再発防止について、より一層精度の高い対策を講じることが可能となり、高品質の飼育管理を実現することができるようになります。なお、この改修工事は平成25年3月末までかかる予定です。
  次に「分子・構造解析施設」では、一昨年度から学内研究者に配慮した上で、企業などの学外研究者を対象に質量分析装置や核磁気共鳴装置などを用いた受託分析試験を行っており、現在まで数件の依頼を受け入れ、地域産業の振興に寄与しています。また、昨年度はプレートリーダー等の機器を更新して、活発な利用が開始されております。
  「遺伝子実験施設」では、昨年度の設備整備マスタープランで導入した次世代高速シーケンサーによる「全ゲノム解析システム」が設置され、既設の「リアルタイムPCR装置」や「高性能細胞破砕装置」と組み合わせたゲノム創薬の推進が始まっております。
  「アイソトープ実験施設」では、機能改善・環境対策の応急措置として、老朽化が著しい実験動物室系統の空調機の取替工事や壁のひび割れの補修が完了しております。また、順次アイソトープ測定装置や放射性有機廃液焼却装置などの新規導入や補修修理が完了しました。これにより、精度の高い環境で遺伝子レベルから動物レベルまでのアイソトープ実験が可能となっております。
  このように生命科学先端研究センターでは、先端生命医療学、分子生命創薬科学、東西統合医療学などの学際的・複合的領域の生命科学先端研究において、国際的レベルの研究拠点を目指し、実験施設の保守・改修、老朽機器の更新、並びに最新鋭の大型機器の導入・運営を行い、高水準の研究支援サービスを提供していくことをセンター職員一同が銘記しておりますので、今後ともご支援、ご鞭撻並びにご指導を賜りますようお願い申し上げます。最後に、大学執行部および関係部署の方々に、これまでのセンターに対するご支援に深く感謝し、ご挨拶とさせていただきます。
(平成24年7月記)