センター長挨拶

生命科学先端研究センター長
大熊 芳明

  センター長として2期目の2年間を仰せつかりました。
  生命科学先端研究センターでは、施設・整備の一元化により、予算の一括管理、設備の更新、機能強化、システム化、ネットワーク化などを図り、効率的に運用されています。また、学内の教育研究の推進・支援のほか、学外からの共同研究員、研究補助員のセンター利用、他大学や企業からの施設・設備の利用、試料の測定の依頼などを積極的に受け入れ、学内や地域の生命科学研究の活性化に努めています。昨年度は、動物実験計画および遺伝子組換え実験計画の申請・審査の電子化、ラットの感染問題対策、施設の往年の構造的欠陥の補修等、教職員一同大変な一年でありましたが、何とか応急措置は取れて落ち着きつつあるのが現状であります。そこで各施設の現況について、以下に簡単に報告いたします。
  「動物実験施設」では、遺伝子改変マウスの胚操作、精子凍結システムを充実させつつあり、トランスレーショナルリサーチへの役割を果たすことが期待されます。また、施設の改修では、大学執行部のご支援とご理解により、動物実験施設棟の機能改善・感染症・環境対策の一環として、昨年度の行動実験室等の改修工事に続き、本年4月からV期棟の空調設備の改修工事が行われ、これにより本学の研究に必要不可欠な遺伝子改変動物の飼育・作製が安全・安心な環境で実施することが可能となります。さらに、当センターの最重要課題である動物実験施設棟の機能改善・耐震補強工事とこれを補完するプレハブ施設の建設につきましては、現在概算要求にて申請中であります。
  次に「分子・構造解析施設」では、昨年度から学内研究者に配慮した上で、企業などの学外研究者を対象に質量分析装置や核磁気共鳴装置などを用いた受託分析試験を行っており、現在まで数件の依頼を受け入れ、地域産業の振興に寄与しています。また施設としては、懸案であったNMR室が使用の利便性に合わせて改修され、今後一層の活発な利用が期待されます。
「遺伝子実験施設」では、今年度のマスタープランで導入する次世代高速シークエンサーによる全ゲノム解析システムの仕様を策定中で、このシステムの整備により、既設の「リアルタイムPCR装置」や「高性能細胞破砕装置」と組み合わせたゲノム創薬の推進が大いに期待されます。
「アイソトープ実験施設」では、機能改善・環境対策の応急措置として、本年3月に老朽化が著しい実験動物室系統の空調機の取替工事が完了しました。これにより、精度の高い環境でアイソトープを用いた動物実験が可能となります。
  このように本センターでは、先端生命医療学、分子生命創薬科学、東西統合医療学などの学際的・複合的領域の生命科学先端研究において、国際的レベルの研究拠点を目指し、実験施設の保守・改修、老朽機器の更新、並びに最新鋭の大型機器の導入・運営を行い、高水準の研究支援サービスを提供していくことをセンター職員一同が銘記しておりますので、今後ともご支援、ご鞭撻並びにご指導を賜りますようお願い申し上げます。
(平成23年7月記)