センター長挨拶

生命科学先端研究センター長
大熊 芳明

  センター長として2年目を迎えることとなりました。よろしくお願い申し上げます。
  さて、生命科学先端研究センターは、旧富山医科薬科大学の時代の平成14年度に「動物実験センター」、「遺伝子実験施設」および「放射性同位元素実験施設」の3施設の合併・統合により「生命科学実験センター」に改組された後、平成17年4月に「実験実習機器センター」との統合により現在のセンター名となって今年で6年目を迎えました。そして今年度は、富山大学の大きな動きとして五福キャンパスの「機器分析センター」、「放射性同位元素総合実験室」および「極低温量子科学研究センター」の3施設が統合されて新たに「自然科学研究支援センター」となりました。従って、大学としては名実共に「生命科学」と「自然科学」の研究の中心が構築できたということになります。そこで今年度の当センター各施設の設備整備の現況をご報告いたします。
  「分子・構造解析施設」では、今年度から「高分解能質量分析システム」の利用が本格的に開始されるようになりました。これにより、質量分析が格段にアップデートされ、古来より用いられて来た和漢薬処方の科学的裏付けと有効成分の合成研究、並びに新規医薬品リード化合物あるいは生体機能制御・解析用人工化合物の合成研究などが一段と加速し、更にこれらの成果に基づく高品質化合物ライブラリーの構築とその品質管理が容易になっております。また生体成分の解析も容易になり、生化学研究にも威力が発揮されてきております。次に「遺伝子実験施設」では、遺伝子上のメチル化塩基を同定できる「リアルタイムPCR装置」および高効率で簡単にDNAが回収できる「高性能細胞破砕装置」の使用が開始されました。これにより、平成23年度のマスタープランで導入予定の次世代高速シークエンサーによる全ゲノム解析システムと組み合わせたゲノム創薬の推進に大きく寄与すると考えられます。更に「動物実験施設」では、「小動物MRI装置」の使用が開始され、マウスやラットの病態あるいは遺伝子改変による表現型の解析において威力を発揮し、今後遺伝子改変マウスの行動観察システムの充実に合わせて、トランスレーショナルリサーチへの役割を果たすことが期待されます。
  このように当センターでは、本学における生命科学研究において、今後も世界レベルの特色ある研究成果が生み出されるよう、実験施設の保守・改修、老朽機器の更新、並びに最新鋭の新規大型機器の導入・運営を行い、高水準の研究支援サービスを提供していくことをセンター職員一同が銘記しておりますので、今後ともご支援、ご鞭撻並びにご指導を賜りますようお願い申し上げます。
(平成22年7月記)